こちらの手帳専門店や、ワークショップなどを通して提案している「モーメント・ジャーナル」。
今の私たちにとって身近な「日々の記録」とは何か、というところから、デルフォニックスの手帳チームで考案した記録方法です。スマートフォンで写真を撮るという身近な行動をベースに、自分の感情や素直な言葉を紡ぐことができます。
普段それぞれの方法で手帳や書くことと向き合っている、デルフォニックスの手帳チーム。その中からモーメント・ジャーナルそのものの考案やイベントの企画などを担当している3名で、1ヵ月間実際に記録をしてみることにしました。今回の読み物では、自分たちの手で実践した中で生まれたリアルな感情や変化、モーメント・ジャーナルの面白さをお届けしたいと思います。
3度のワークショップの実施を経て「誰かと書く」面白さを知ったこともあり、私たちは毎日3人が集まる朝礼時に「モーメント・ジャーナルの時間」をとることにした。
日記というと1日を振り返って夜に書くという人も多いかもしれないが、朝に書くというのも頭がすっきりし、思考が整理されて、その日を主体的に始められる感覚があった。
在宅勤務の時はパソコンのカメラの前で、出社した時は同じ机で、各々のペースでモーメント・ジャーナルを書く。1日にほんの5分ほどで、それ以外の各々の生活はこれまでと何も変わらない。
一緒に書くからといって全てを発表、共有するということでもない。「そういえばこの話2人にしたかったんだ」と思い出した週末の出来事や、生活の中でふと疑問が生まれて調べた雑学など、たわいもない会話が生まれることもあれば、特に何も共有せずにそれぞれの自分の作業に戻ったり、「書ききれないので後で書きます」と区切りをつけることも。あくまで自由なスタイルで書く時間を共にした。
忙しい日はスキップしたり、1週間くらい前のことを振り返って書いたり、毎日続けたというわけではなかったが、実践してみて、そのくらいのペースが心地よいなと改めて思う。
「続けるぞ」と気負っていたわけでもなかったが、ひと月経った後に書いた記録を見返すとこの期間のハイライトがしっかり詰まったダイアリーが手元にあった。くすっと笑える内容があったり、その日にメンバーと話したことを思い出したり。忙しい毎日の中にもいろいろな面白い瞬間や気付きが散りばめられていることを改めて認識して、無理しなくても十分に価値のある記録になったなと、小さな達成感を感じることができた。

1ヵ月が経った頃、各々の書いたダイアリーを持ち寄り、ペラペラと内容を振り返りながらモーメント・ジャーナルについて話してみることに。
まず面白かったのは、当たり前だが「何を残したか」が人によってまったく異なることである。イベントやスポーツ観戦、食べ物・買いたいもの、家族との時間など、この1ヵ月をそれぞれが何に比重を置いて過ごしたのかが見えてくる。
メンバーの書いた内容を聞いて「やっぱり」と思うこともあれば「意外だった」と感じることも。平日の大部分は仕事で時間を共にし、プライベートの話もよくしているが、考えていることや印象に残っていること、切り取る瞬間にそれぞれの個性が現れ、改めて面白く、お互いへの理解も深まった。


また、共通していたのは「大きな出来事」ではない記録の存在感と、そこから得られた意識の変化。
もちろん何かイベントや大きく気持ちが揺れることがあった日は、分量も多くなり記録の熱量も高いのだが、振り返ってみると1ヵ月のうち数日。特に何もなかったような日の些細な記録にも、しっかり小さな感情の揺れや見逃してしまいそうな瞬間が詰まっており、むしろそういった積み重ねが私たちの毎日の輪郭を作っているんだと気づくことができた。
平日は、つい同じようなことの繰り返しと思ってしまいがちだが、小さな習慣を取り入れてみたことによる変化や仕事での新たな学び、夜のスマートフォンタイムのスクリーンショットなど、案外トピックは色々あるもの。小さな良いこと、面白いこともたくさん隠れていて、目を向けないと気付けないような瞬間を見つけて、なんだかうれしい気持ちになったりもした。
「今月はなぜか買い物の計画ばかりしていて、物欲がすごい」とか、「数か月後に控えたライフイベントのために一喜一憂している」とか、こうしてまとめて見返すことで初めて自覚する自分や生活の波も。たった1ヵ月 でこうなのだから、これが1年、3年、5年と続いていったら、生活や自分の気持ちとの向き合い方も少しずつ変わっていくのかもしれない。すでにあるわたしたちの毎日から、これまで見逃していたような小さな気付きを積み重ね、大きな変化や素敵な未来につながっていく、そんな期待を各々が得られた期間だった。
「切り取る瞬間」について気付いた3つのこと
・切り取る瞬間の傾向で、自分の無意識の「好き」や「気になる」ことに気付ける
・いつもと同じように感じる日も、必ず何か「その日らしいこと」がある
・振り返る時間のおもしろさが、「また書いてみようかな」という気持ちにつながる

「ロルバーン ダイアリーで書く」ことだけ決めて、選ぶダイアリーや使い方はそれぞれの自由に。2人はLサイズのロルバーン ダイアリー、1人は先日発売された日付フリーのロルバーン フリーダイアリーを使用した。
書く位置も自由で、1日1ページと決めて書いたメンバーもいれば、「右側のページにだけ書く」パターン、フリーダイアリーのフォーマットに沿って見開き8日分を記入するなど、1日あたりの大きさもさまざま。
始めはまだ「そういう試み」として書いている意識があったからか、字も綺麗で余白も整っていたが、数日経った頃から気付けばどんどんラフに、行間も広くなっていったという声も。自分にとって心地の良い文字の大きさや余白の取り方は、続けながら分かっていくものなのだ。
文字が大きいメンバーは、過去にMサイズを使ったこともあるがLサイズの方がより自由に書ける感覚があるという。また、小さい字で細々書く方が心の内を書きやすいというメンバーは、フリーダイアリーの1ページを4分割されたサイズが、1日あたりの分量にちょうど良いという気付きがあった。
型やサイズは記録の支えにもなるが、合わないものはストレスになることも。心地よく続けるためにも「自分の手が自然に動く形」「それに合ったダイアリー」を見つける大切さを再確認した。

そして、モーメント・ジャーナルの書き方(最初に写真を見てひとこと、そこに5つの表現を加える)についても多くの発見があった。
書き出しのひとことは、人によって「難しく感じる日もあった」「タイトルをつけるような感覚」「情緒的に書きがち」などさまざまな気付きが。日ごろ文章作成をすることが多いメンバーは、つい記事の書き出しのようになってしまう…など、言葉選びの癖が最も現れるところかもしれない。
また、途中の「人物」「場所」「出来事」「感情」の表現を加えるステップについては、継続するにつれて3人ともあまり意識しなくなっていた。モーメント・ジャーナルの方法を考案した際、「言葉が浮かばない時のガイド」として組み込んだ要素ということもあり、慣れてきたらあまり意識せずとも自然と手が動く。
対して、最後の「気付き」は、記録を終着させる視点として役立った。
これまで書いてきた日記は、感情を発散させるような感覚で終わっているものが多かったように思うが、そこから「気付き」を考えてみることで落としどころが見つかり、明日、明後日に向けたメッセージとして残すことができる。だらだら書きがちだったというメンバーは「自然と区切りをつけられる」という点でも良さを感じたと話す。
「ひとこと」で始め、「気付き」で終える。そこだけ意識すれば、あとは自由に。慣れてくると無意識に自分にとって必要な視点を選び取れるようになるという変化も大きな気付きだった。

「書き方」について気付いた3つのこと
・書き方に正解はなく、三者三様。その日の気分や感情も現れる
・自分にとって心地よい文字の大きさや余白の取り方は、続けていくことで自然と見えてくる
・最後に「気付き」を書くことで、その日の記録を自然と区切り、次へつなげることができる
1ヵ月書いてみて感じたのは、モーメント・ジャーナルは、継続しながら自分に合うスタイルが見つかっていく、柔軟な記録方法であるということだ。ガイドのような役割としてステップを設けてはいるが、「同じように書く」ためのものではない。同じ時間に、同じ期間続けても、自然とそれぞれのスタイルが確立されていき、その違いこそが自分の毎日を愛おしく感じさせるものになっていった。
また、ひとつひとつは小さな瞬間でも、積み重ねると大きな気付きや充実感につながり、記録の価値についても改めて感じることができた。
毎日の過ぎていく時間に退屈さを感じていたり、逆に忙しく心に余裕がなくなっている時。ほんの5分、記録の時間を取ってみてほしい。書くたびに小さな気付きが積み重なっていく、そんな変化を楽しみに、私たちもまた写真を1枚選んで書き続けていきたいと思う。
