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2023/1/18

タイルとパフェが、ロルバーンダイアリーになるまで

毎シーズンたくさんの表紙バリエーションで登場するロルバーンダイアリー。多彩なデザインはどのように作られているか、ご存じですか?
1年を共にするダイアリー、その制作過程をみなさんにもお届けして、さらに愛着を持ってもらいたい。そう考え、今回は「タイル」「フリュイ」の2シリーズをピックアップ。担当デザイナーに聞いた制作背景とともに、デザインの魅力をお届けします。

ダイアリーのデザインが決まるまで

デザインが完成するまでには、たくさんの工程がある。
商品企画に携わるスタッフがアイデアを持ち寄り、その中からいくつかの方向性を決定。コンセプトが決まったら、様々な角度でリサーチをする。モチーフについて理解を深め、さらに細かい方向性を決めながら、ラフデザイン、本番デザインの制作に入っていく。

総柄のタイルは大人っぽくおしゃれな印象。対して、フルーツデザートが中心に配置されたフリュイは一つずつ異なるモチーフが個性的で可愛らしい。 違った性格を持つ2シリーズは、それぞれどのように作られたのか。まずはタイルから見てみよう。

艶と凹凸のあるタイルを、紙という平面に落とし込む

タイルは、大人でも使いやすい、さりげない可愛さをテーマに作られたシリーズ。担当デザイナーは、「春はどんなモチーフにしようか考えながら散歩をしていたとき、ふいにショップのタイルが目に入って、手帳にしたら素敵かもしれないと思った」と話す。海外でコースターやDIY用に流行し始めているタイル。国によって、柄のテイストも少しずつ異なるそう。

「まずは様々な国のタイルデザインを調べました。少し個性的な台湾タイル、落ち着いておしゃれな気分のヨーロッパタイル。ハワイアンな雰囲気も素敵かもしれないと思い、少し寄り道も。最終的には絵柄としての持ちやすさを重視し、ヨーロッパタイルを参考にしています」

リサーチを経て方向性が決まってからも、検討は繰り返される。制作過程で苦戦した点を聞いてみたところ、「タイルならでは」な側面が見えた。

一つ一つ手で描き起こしたタイルの模様を、切り貼りしながら配置検討する様子

「ロルバーンのデザイン過程で大切にしているのは、PC画面より、実物に近い紙の上で考えること。今回も、“平面でもタイルらしく見えるか”という観点で手を動かしながらヒントを見つけていきました」

柄を検討する中で、制作の軸となる2つのポイントに気付いたそう。「曲線より直線を使った模様の方が、透明感が出てタイルらしい」こと、そして「単純なものと華やかなものを組み合わせ、柄の入れ方にメリハリをつける」ということだ。

「はじめは丸みを帯びたデザインや、可愛い大柄をたくさん入れたいと思っていました。ただ、いざ表現してみると、曲線の柄はキルティングのような印象になり、可愛い柄も入れすぎると重く感じたんです。カラフルな物も素敵ですが、紙の上では白っぽい方がよりタイル感が出るということもあり、最終的には直線で構成されたシンプルな柄を中心に、ポイントとして大柄を使っています」

出来上がったデザインを見ると、平らな紙なのにどこか奥行きのあるような、艶のあるタイルの透明感がよく出ている。かすかに描かれた柄の濃淡や隙間の影、細やかな検討の過程が、パっと見てタイルに見える仕上がりへとつながっている。

「抜き」のタッチで描かれた、爽やかなフルーツデザート

水彩タッチでパフェやフルーツティーを瑞々しく描いたフリュイ。春のロルバーンダイアリーでは定番だったフルーツ柄を、別のアプローチで作るというコンセプトからスタートした、「新しいフルーツ柄」だ。
「10月始まりは“タイムオブティー”や“フェイブ”のように甘く可愛らしい印象の表紙が多かったので、今回は春夏に持ちたくなるような軽やかさを追求しました」そう話すのは、2022年に入社し、今回初めてダイアリーを担当したデザイナー。

「初期のデザインではフルーツも細かく描き込んだり、直線的で図形っぽい表現方法を試したりも。そこからとにかく引き算を繰り返して、タッチの加減を探りました。最終的なデザインでは、グラスの中の描き込みを減らして絵の具のにじみのような表現を用いたり、輪郭の線もあえて部分的に途切れさせたりしています」

確かに、かすれた筆の雰囲気や線の途切れが抜けを感じさせ、甘いモチーフなのに重くない。印象やバランスを考えながら何度も描き直し、引き算してイメージに近づけていく過程が、瑞々しく爽やかな印象を作り上げている。

方向性を決めるためのラフデザインを制作している様子

「複数のメンバーとディスカッションしながら制作を進めるため、“こんなイメージ”という形状や色を、ラフデザインの段階で詰めて確認するようにしています。一つの柄だけでなく全体で見た時のバランスも、この段階である程度決めていきます」

すべてパフェにする、チョコレートを入れてメリハリを出す、一つはドリンクにするなど検討を重ね、個性が出る組み合わせを検討したそう。
「フルーツの内容やグラスのシルエットなど構成要素が多いため、“チョコレートを加えよう” “一つは角ばったグラスにしよう”など、足し引きを繰り返しながら細部のバランスを調整しました」という通り、性格の異なる4柄だが、並べるとまとまりがある。 フルーツティーや大人っぽい“夜パフェ”のようなデザインが加わることで、ただ可愛いだけでなく、選ぶ幅が広がっているのも魅力の一つだ。

ロルバーンダイアリーに詰まった、思いとこだわり

出来上がった表紙デザインを見ながら、制作過程を語る

「あえて補色のアメジストの箔を利かせたベージュが、大人っぽくて特にお気に入りです。毎日飽きずに使えるデザインになったと思うので、マイペースに日記などに使うのもぴったりだと思います」(タイル担当デザイナー)

「ご褒美感のあるモチーフなので、あえて職場などで使ってほしいなと思います。休憩中などに見て、爽やかなパフェやドリンクに思い馳せ、ほっと一息つける時間を過ごしてもらえたら嬉しいです」(フリュイ担当デザイナー)

タイル柄と言っても、単純に可愛いタイルをたくさん集めて並べたわけではない。凹凸のない紙の上でも立体的に見えるように、模様の形状や差し色のバランスなど様々な組み合わせを試し、らしさを追求している。
細かい描き込みのあるイラストの方が手の込んだような印象を受けがちだが、あえてラフに、抜けのある画風に見せる方が実は難しい。フリュイはそんな引き算のデザインで、春夏に持ちたくなるようなフルーツの瑞々しさを表現した。

立体的で繊細なモチーフを、紙という平面の上でより一層魅力的に見せる。その背景にはモチーフへの深い理解と、妥協せずに検討を重ねるこだわりが詰まっている。

「タイル」「フリュイ」は、2023年3月始まりのロルバーンダイアリーです。
発売日は、まもなくこちらの手帳専門店にて発表予定です。楽しみにお待ちください。