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2024/1/11

What‘s behind Delfonics Diary
定番モチーフをデルフォニックスらしく切り取った「フルーツ」「フラワー」「ZOO」が生まれるまで Vol.1

毎シーズン新しい表紙デザインがたくさん登場する、デルフォニックスのダイアリー。
こちらの読み物「What’s behind Delfonics Diary」では、その制作背景にフォーカスして、デザインの魅力をお伝えしています。

今回ピックアップするのは、春のダイアリー「フルーツ」「フラワー」「ZOO」。
果物・花・動物という定番モチーフは、これまでもさまざまな切り口でダイアリーの表紙デザインに登場してきました。過去に使っていたという人や、好きなモチーフのものをつい選んでしまうという方も多いのではないでしょうか。
登場する3シリーズは、いずれもデルフォニックスらしいグラフィカルな切り取り方と配色が特徴的。どのように仕上がっているのか、一つずつ見ていきましょう。

1. フルーツを鮮やかに描く、海外のレトロなお菓子パッケージをイメージした「フルーツ」
2. 花形の窓からチェック柄がのぞく、仕掛けとコントラストが楽しい「フラワー」
3. 知的な雰囲気をまとった、動物たちの凛々しい横顔をグラフィカルに描いた「ZOO」




フルーツを鮮やかに描く
海外のレトロなお菓子パッケージをイメージした「フルーツ」

今回の「フルーツ」は、海外のレトロなお菓子パッケージからインスピレーションを受けたデザイン。
グラフィカルな描き方と鮮やかなカラーリングで、美味しそうな果物がパッと目に飛び込んでくる。
つい手に取りたくなってしまうシリーズだ。

2024年3月始まり手帳「フルーツ」

ポップな海外のミントやキャンディーのような雰囲気は、これまでに幾度と登場してきたフルーツ柄を思い出しても、懐かしさと新鮮さを同時に感じるデザイン。
担当したデザイナーは「やり尽くしていたように思えた果物。鮮やかでインパクトのある海外風の色使いと、図形的なデザインで、デルフォニックスらしくも新しい印象にしたかった」と話す。

過去の「フルーツ」でもグラフィカルなデザインはあったものの、今回はより幾何学的に、定規とコンパスを使って描いたような仕上がりだ。
1つ中央に配置されたピーチ、2つに切られたオレンジ、3本の房になっているバナナ、6つバラバラと置かれたイチゴ。形状も、正円や三角形など、図形で構成した時のバランスや見応えを意識してセレクトしたそう。シンプルながらも、シルエットに差があり数も異なるのが面白い。

「フルーツは、もともと幾何学的な形。そのポテンシャルを最大限活かすことを心掛けた」と言うとおり、無機質にも感じられる印象に落とし込まれることで、規則的な美しさや自然に生まれた形状のユニークさが際立っているのだ。


「美味しそう」を作る質感と配色

もう一点、フルーツモチーフを描くにあたって重視したというのが「美味しそうに見えるか」という点。
今回は部分的に質感の異なるグラデーションを重ねることで、図形的な形状の中にも熟れたような生のニュアンスを伝えたそう。
特に正円で構成されたピーチは、今回の中では最も描くポイントが少ない果物。
「単色で構成するとなかなか美味しそうに見えない」が、ピンクのグラデーションによりシンプルながらも立体的で果物らしく仕上がっている。

さらに特徴的なのは、鮮やかでインパクトのある配色だ。
ファッショントレンドの波は文具にも反映され、ここ3、4年ほどはグレイッシュで淡く優しいカラーが多かったように思う。デルフォニックスでも「グレージュ」が定番化され、甘さのある雰囲気のアイテムも多数登場した。
アンニュイなムードも見慣れてきた近頃、目に飛び込んでくるカラーが恋しくなってきた。そんなところから生まれたのが今回の「フルーツ」だという。

制作過程でそんな流れを牽引したというのが、4つの中でも特に目を引くカラーリングのイチゴ柄だ。

鮮やかなカラーリングが目を引くイチゴ柄

イチゴの赤に背景の濃いピンク、反対色のグリーンロゴ。海外のキャンディーのような鮮烈な甘さや香りが自然と想像される。
ただビビットなだけでなく、ほんの少しシニカルでキッチュな印象は今回ならではのポイント。同系色と反対色を組み合わせて明度彩度を調整し、美味しそうに見える配色の中にも毒々しさと凛とした強さを持たせた。

また、鮮やかなロルバーン ダイアリーに対してマンスリータイプ(画像右)はまた違った印象。
白地に細かく色の斑点が混じった紙に、デザインをプリントしたクリアカバー。レトロなニュアンスのタイポグラフィーも相まって、フルーツをヨーグルトシェイクにしたような爽やかな雰囲気に仕上がっている。同じモチーフで世界観を統一しつつも、カラーリングや要素のバランスで作られる違いを楽しめる、組み合わせて2冊持ちしたくなるデザインだ。

形状の美しさ、食べ頃の熟れた美味しさ、お菓子やドリンクにした時の香りや甘さ。
さまざまな角度からたっぷり詰め込まれたフルーツの魅力。絶妙なバランス感覚で落とし込んだグラフィカルなデザインは、フレッシュな春のスタートにぴったりだ。


次回の記事では、花型の窓からチェック柄が覗く「フラワー」をピックアップ。
仕掛けとコントラストが楽しいダイアリーです。こちらもぜひチェックしてみてください。

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