毎シーズン新しい表紙デザインがたくさん登場する、デルフォニックスのダイアリー。
こちらの読み物「What’s behind Delfonics Diary」では、その制作背景にフォーカスして、デザインの魅力をお伝えしています。
先週の「フルーツ」から始まった、春のダイアリーに登場する定番モチーフシリーズ。
第2弾の今回は「フラワー」をピックアップします。
1. フルーツを鮮やかに描く、海外のレトロなお菓子パッケージをイメージした「フルーツ」
2. 花形の窓からチェック柄がのぞく、仕掛けとコントラストが楽しい「フラワー」
3. 知的な雰囲気をまとった、動物の凛々しい横顔をグラフィカルに描いた「ZOO」
暖かい春に似合う定番モチーフとして、3月始まりのダイアリーの表紙にたびたび登場してきた「フラワー」。
シンプルな絵やアーティストとのコラボレーションなど、さまざまな方法で表現してきたモチーフだが、今回のデザインはこれまでとは一味違う。
最も大きな特徴は、花形の透明な窓からカラフルなチェック柄が浮かび上がる仕掛け。
仕掛けを楽しむデザインといえば前回の10月始まりで登場した着せ替えできる「トロワ」が記憶に新しいが、今回は取り外しするものではなく、あらかじめ表紙が2枚重ねになっている。
切り抜かれたように見える花のシルエット部分は、穴が開いているわけではない。素材を活かし花の部分のみが透明になっており、2枚目のチェック柄が透けて見える構造だ。
ガーリーな印象もある花モチーフだが、イラストではなくシルエットで表現することにより、可愛らしい雰囲気に抵抗のある人でも持ちやすい仕上がりになっている。
仕掛けを美しく見せる工夫にも注目したい。
まずは花の種類の選定。
シルエットのみで魅力的に見せるためには、複雑すぎず単純すぎない形を選ぶ必要がある。
花弁や茎、葉など要素にメリハリがあり、バリエーションによって形にも変化が生まれる花は、この仕掛けにぴったり。
すっきりとした曲線が象徴的なチューリップ、丸みを帯びたガーベラ、長い茎に凛とした印象のユリ。採用したこれら3種について担当デザイナーに聞いてみると、「シルエットにしたときに花らしさと個性を兼ね備えたものを選んだ」という。その言葉通り、それぞれが異なる印象で分かりやすい仕上がりになっている。
また、2枚のデザインを重ねるという点で、制作スタート時は配色やパターンも検討を重ねたそう。
1枚目の花を囲む印刷部分は淡く優しく、対して透けて見える2枚目は鮮やかなカラーリング。
ドットやボーダーなど明暗のはっきりしたパターンではなく、柄としての主張と面としてのまとまりを兼ね備えたチェック柄を組み合わせることで、シルエットの境界が明確になりくっきりと花が浮かび上がっている。
チェックはよく見ると水彩で描かれている。アクセントに使われているカラーやパターンが3柄それぞれ異なる点もポイントだ。
シルエットの幾何学的な印象に均一なパターンを組み合わせると、かっちりと堅い雰囲気になってしまう。ラフな手書きならではの歪みやムラ、各モチーフにマッチしたオリジナルの柄を合わせることで、より軽やかなバランスを実現した。
形状、色、パターン。随所にちりばめられたコントラストが、仕掛けをより引き立てているのだ。
ここまでご紹介してきた、素材を活用した特徴的な仕掛け。そのアイディアの入口は、過去のダイアリーにあったという。
2021年に発売されたクリア素材に遊び心のあるアイコンを散りばめたシリーズ「Chatty(チャッティー)」。ユニークな雰囲気で、記憶に残っている人も多いのではないだろうか。
こちらも担当したデザイナーは、「チャッティーと同じようにクリア素材を活用した、仕掛けのあるアイテムを作れないかと考えていた」と話す。
そんなきっかけで生まれた、今回の「フラワー」。新鮮に感じる仕掛けも、そのヒントはこれまでの積み重ねの中にあったのだ。
華やかなチェックと美しい花のシルエットを一冊で楽しめるデザインは、見ているだけで鮮やかな日々を予感し心が躍る。
新しい「フラワー」、春への期待を感じながらぜひ手に取ってみてほしい。
次回の記事では、動物の凛々しい姿を描いた「ZOO」をピックアップ。
これまでの定番だった可愛らしいアニマル柄に代わり、今回は知的な横顔を切り取った4柄展開で登場します。
こちらもぜひチェックしてみてください。
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