ダイアリーの使い始めの時期に合わせ、デルフォニックスで働くリアルなスタッフの手帳をご紹介する連載企画。
第三弾では、直営店の本部スタッフが登場します。
今回、手帳を見せてもらったのは、直営店(デルフォニックス 大阪、スミス各店)の本部スタッフ。店舗運営に加え、直営店における自社製品の販売計画や商品企画など、担当業務は多岐に渡る。
長年手帳の企画開発にも携わってきた彼女はどんな手帳の使い方をしているのか。気になって話を聞いてみた。
一冊にすべてをまとめる、バーチカルタイプのキトリ ダイアリー
使っているのは、1月始まりのキトリ ダイアリー タイプCX(バーチカルタイプ)。
バーチカルタイプの特徴は、見開き左から右に一週間が並ぶウィークリーページ。3時間ごとの時間表記とページ下部の方眼メモで構成されているフォーマットだ。
時間表記が魅力のバーチカルフォーマットだが、これまでに話を聞いてきた2名と同様に、今回話を聞いたスタッフも時間軸での予定管理は手帳ではなくデジタルの予定表で管理しているそう。では手帳の役割はというと、「マンスリーページには月で俯瞰したいスケジュールを、ウィークリーページは上段をTODOリストとして、下段のフリーメモを会議のメモに使っている」という。
1月始まりのキトリ ダイアリーを使う理由は、目的のページをパッと開けるインデックスと、マンスリーの後にその月のウィークリーが続く、一か月を見渡しやすいフォーマットにある。「業務の性質上、さまざまな部署や人と連携しながら進行するものが多く、会議などの予定に加えて欠かせないのが締め切り管理です。すでに決まっている締め切りから逆算して自分のすべき業務を洗い出し、月→週→日と割り振っていくことが多いため、一か月をひとまとめに管理できるプラクティカルダイアリーが合っていると感じています」
ウィークリーページの上部は、縦にTODOリストとして活用。
1月始まりのバーチカルフォーマットでは、時間表記は入っているものの、10月始まりと比較して3時間ごとの表記になっていたり罫線がなかったりと、より柔軟に使えるフォーマットになっている。そのため、このように時間を無視してリストのように使っても、必要な時だけ時間軸を使ってもよい。締切の決まっているタスクや、会議までに準備することなど細かいタスクが多い人におすすめの使い方だ。
また、下部にはぎっしりとその週の会議や商談メモが。以前は別でノートを持っていたというが、メモの内容と日時や状況をリンクさせにくいというところから、ここ数年はすべてを一冊で管理しているという。
定期的な会議の内容を中心に記録しているウィークリーページに加え、不定期で行われるものや年間で見ていく必要のあること、例えばスタッフの評価面談の記録や、一年かけて行う大きなプロジェクトについては、巻末のフリーメモページを活用。随時書き足していくことで振り返りやすい。
「どう考えたか」を時系列で残すための手帳
手帳と一緒に持ち運んでいるアイテムを見せてもらうと、とにかく荷物を最小限に、という言葉通り、ペンホルダーに収納できるペン一本と消しゴム、スマートフォンのみととてもミニマルな印象だ。
もっとコンパクトにしようと思えばデジタルツールだけで予定やタスクを管理することもできる中、それでも手帳を持つ理由はどこにあるのだろうか。
「考えていること、聞いたことを記録に残すツールとして、自分にとっては手帳が一番使いやすいと感じています。PCなどで記録しようとするとどうしても文字を打つ行為に意識が行ってしまい、思考と記録にラグが生じてしまう。アナログの方がそのギャップが少なく自然に感じます。そうやって残した記録は、見返す時にも細かい思考過程が理解しやすい。PCで作る体裁の整った資料には書かないようなところまで思考の過程が書き残されていて、次に同じようなことがあったときも考え方をさかのぼることができます。どの数字を見て、どう判断して、どう決定したのか、誰かに説明する時にも役に立ちます」
思考過程をできるだけそのままの形で残し、後で振り返るということ。文字の密度や筆跡、小さな走り書きのメモにもその時のリアルな情報は詰まっている。
フラットに打ち込まれた文字よりも直感的な、アナログでの記録の良さの一つかもしれない。
企画側とユーザー側、二つの視点で考える手帳の商品企画
手帳についていろいろと話を聞いていると、使うだけではない「作る」側の視点も見えてきた。
直営店本部という立場から、店舗で感じるお客様のニーズやトレンドを共有し新たなアイデアを提案するなど、商品化に至るまでのさまざまな業務を担当している彼女は、長年手帳の商品企画にも携わってきたという。
特に毎年こだわっているのは、直営店限定のアイテム。
まもなく発売となる1月始まりのキトリ ダイアリーでは、毎年直営店店舗とDELFONICS WEB SHOPでそれぞれ一色ずつ限定カラーが登場する。
働く人に向けた、さりげないトレンドカラーと上質な質感で人気のシリーズだが、「直営店限定では、より感度の高い人が持ちたくなる配色を意識して検討を重ねている」そう。今年はパールホワイト×ライムイエローのバイカラーで、クリーンな印象の中に差し色のはっきりしたライムイエローがポイントだという。
また、手帳そのものについても、時代とともにその役割や立ち位置が少しずつ変化してきている。そんな中、毎年手帳の企画がスタートするときに議題に上がるのが、「何を変えて、何を変えないか」という点だという。手帳というアイテムの性質上、長く使っている人に応え続けるという視点は欠かせない。一方で、デジタルツールの発展や多様な働き方が広がり、新しいニーズに適応し新たな価値を提案するための変化も考えていく必要があり、そのバランスを探りながらチャレンジを続けているのだ。
実際、ここ数年でも、ベーシックダイアリーとプラクティカルダイアリーのリニューアルをはじめ、パソコンの前でも使いやすい横型ダイアリーや多軸管理のログチャートとガントチャート、差し替えができるフレキシブルダイアリーなど、さまざまな新しいフォーマットが登場している。
そんな通常の新商品とは少し違った難しさのある「手帳」の商品企画において、大切にしていることを聞いてみた。
「商品企画に携わる身として一つ心掛けているのは、“新しく生まれたフォーマットを自分も実生活の中で使ってみる”ということ。使ってみて自分の生活には合わないと思ったり、数か月で別のものに切り替えたりすることもあります。でも、これまで挑戦していなかった形でも意外としっくりくる時もあって、今使っているプラクティカルダイアリーも、フォーマットのリニューアルの時に試してよかったのがきっかけでした」
「使っていないものには、意見や考えも浮かんでこない」というとおり、過去に使っていた手帳を聞くと、その時々で生まれた新しいフォーマットが次々と出てきた。
企画視点とユーザーの視点をどちらも併せ持ち、既存のものと新しいもののバランスを探り続ける。そうやって、変わらない良さを大切にしながらも時代に合わせて進化し続けるデルフォニックス手帳は作られているのだ。
三回にわたってお届けしてきた、デルフォニックス社員の手帳の中身はいかがだったでしょうか。自分に合った手帳と使い方に至るまで、それぞれに試行錯誤の過程や独自の視点がありました。
手帳というアイテムの役割は、仕事や生活、時代の変化とともに変わっていくもの。柔軟にいろいろなフォーマットを試してみたり、取り入れられそうな使い方に挑戦してみたりしながら、少しずつ「自分にはこれが合いそう」というポイントを積み上げていくことが、手帳を使いこなす近道なのかもしれません。
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