マス目の広い月間ページと、豊富なメモが魅力のロルバーン ダイアリー。さまざまに活用できるシンプルなフォーマットが特徴である一方で、その自由度の高さゆえに使い方で悩む人もいるのではないでしょうか。
そこで、今改めてその使い方のヒントを、連載企画としてお届けしています。
今回は、新しい環境もひと段落したところで、日々の整理をしたくなる今の時期、「書くこと」を軽やかに続けるための小さな習慣やコツについて。
前回の【書く前の準備編】に続き、こちらの読み物では、「書いている最中」に注目してみましょう。
第一弾:年間計画ページの使い方
第二弾:メモページを使った、日記の書き方
第三弾:ロルバーン専用アクセサリーを使ったセットアップ
第四弾:資格取得や勉強のための使い方
第五弾:2冊持ちのススメ
第六弾:マンスリーページで書く一言日記
第七弾:「気になる」をストックするメモページの活用法
第八弾:充実した1年を計画する、新しい1冊の使い始めにやりたいこと
第九弾:日記を軽やかに続ける習慣 【書く前の準備編】
ダイアリーを開くことは習慣になっていても、書く過程でモヤモヤする瞬間は案外多いもの。
「書き出しに時間がかかる」「どこで終わりにすればいいのか分からない」「本当に書きたいことが書けていない気がする」
そんな感覚はなぜ生まれるのか、どうすれば気持ちよく書くことができるのか、考えてみたい。
まず一つ根本にあるのが、「どのくらい書けばいいか分からない」という迷いではないだろうか。
もちろん「好きなだけ書けばOK」だが、むしろ分量の目安があるほうが気楽に感じるという人もいるかもしれない。
「書く量」について、実際にアンケートで多かったのはこのような声だった。
「最初からたくさん書こうとせず、まずはひとこと書いてみる」「マンスリーページを一言日記として活用。書き足りない日のみメモページへ」「初めから長い文章を書こうとせず、単語から書き出す」
特に印象的だったのは「まずはひとこと」という考え方。ロルバーン ダイアリーを使っている人の中でも、メモページに記録する前段階として、マンスリーページをひとこと日記として使っているという声も多かった。
初めから長い文章を書こうとすると、身構えてしまうもの。文章を作るという意識よりも、直感的にひとこと書き出してみることで、不思議と次の言葉が浮かんでくる。
これは「書くこと」に限らず、勉強や家事にも通じるところがある。完璧を目差すのではなく、まずはすぐにできることから始める。すると自然と気持ちが動き出す。そんな感覚を、日々の記録にも当てはめてみよう。
また、「量」だけでなく「時間」で区切る人も。
「1日10分、時間を決めて書く」「タイマーをつけながら時間内で日記を書く」「“1日1ページ埋める“など決めない。書く気持ちが途切れたら終わり」
これなら“スペースを埋めること”が目的にならず、書きたい気持ちに集中できる。
もちろんゆっくり楽しむのも良いが、あえて時間を決めることで頭がクリアになり、本心に近い言葉が生まれてくるということもある。
いずれにしても、分量が多ければいい、長い時間かけて書いたからいい、というわけではない。
たくさん書いた日も、一言だけの日も。大切なのは「どれだけ書いたか」より、「その日、自分に素直に書くことができたか」。そんなふうに向き合えたら、きっと続けることがもっと楽しくなるはずだ。
書き始めたものの、いつの間にか話がそれていったり、何が書きたかったのか分からなくなったり。「うまく言葉にできていない気がする」、そんなモヤモヤを感じたことがある人も多いのでは。
特に長い一日の中から、どこに焦点を当ててどう言葉にするのかというのは、悩ましいもの。
そんな時に役立つのは、ほんの少しの“視点”を持つこと。
アンケートでも「写真を貼って、それについて記録する」「良かったことを3つ書く」「新たな気付きがあった日だけ書く」など、記録の“視点”について、さまざまな工夫が寄せられていた。
今回はひとつ、先ほどの「量」の話の中にもあった「まずはひとこと」に、5つの視点で表現を加えて言葉を紡ぐ方法をお伝えしたい。
書きたいトピックスがすぐに頭に浮かんできた人はそれについて、浮かばなかった人は自分のスマートフォンの中から一枚写真を選んでみてほしい。何気ない一枚でも、案外心が動いた瞬間が残っていることもある。
それでは、例とともに見てみよう。
① まずはひとこと
まずは直感で、写真や今日のトピックスに対して思い浮かんだ「ひとこと」を書いてみよう。
『今日は懐かしい一日だった。』
続いて、「人物」「場所」「出来事」「感情」「気づき」と5つの視点で、表現を加えてみよう。
無理にすべて入れようとしなくても、浮かんだものだけでもOK。
② 人物と場所をプラス「誰と?どこで?」
『ともちゃんと、代々木公園で桜を見ながら。』
③ 出来事をプラス「何があった?」
『学生の頃の写真を見返したりして、気付いたら4時間も話していた。』
④ 感情をプラス「どんな気持ちだった?」
『久しぶりに思いっきり笑った気がする。』
⑤ 気付きを入れる「どんな発見があった?」
『社会人になってから、ずっと肩に力が入っていた。
こういう時間が、今の私には大事なのかも。』
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『今日は懐かしい一日だった。
ともちゃんと、代々木公園で桜を見ながら。学生の頃の写真を見返したりして、気付いたら4時間も話していた。久しぶりに思いっきり笑った気がする。
社会人になってから、ずっと肩に力が入っていた。こういう時間が、今の私には大事なのかも。』
今回紹介したのはあくまで一つの方法だが、シンプルな中にも鮮明に景色が浮かび上がってくる文章になったのではないだろうか。
特別な言葉を使わなくても、少しずつ表現を重ねていくことで、その日見ていた景色や、自分の気持ちが立ち上がってくる。
特に最後の“気付き”は、言葉にしようとして初めて自覚する、ということも。書くことは、自分との対話でもある。そんな瞬間が生まれることで、日々の記録はより楽しいものになっていく気がする。
そして最後に。「何か書きたいのに特に浮かばない」そんな日も、きっとあるのでは。
前編では「書けない日があってもいい」と伝えたが、一方で「毎日何かしらを残し続けることに達成感がある」「スキップするのがモヤモヤする」という人も少なくないだろう。こういった気持ちもまた素直なものであり、自分の中で大切にするべき感覚だ。
そんな時におすすめなのが、「書けない日に何をするか」の選択肢を持っておくことである。
「食べたものだけメモする」「お気に入りのシールを貼る」「小さなイラストを書く」「今日手にした紙物を貼る」「可愛く”デコ”する」「体調だけは毎日記録する」
アンケートでも、何かを貼ったり、文字以外のマークやイラストを描いたりと、自分なりの“逃げ道”を作っている人が多かった。
わずか数文字でも、書く以外の方法でも、今日という一日を振り返るきっかけさえあれば、それは立派な日記。
負担にならない範囲で、何か記録したいという欲を満たしてくれる方法を考えておくこともまた、ひとつの付き合い方なのだ。
書くことに迷ったり、言葉が出てこなかったり、ダイアリーを開くこと自体が億劫になったり。そんな日があっても大丈夫です。
2本の読み物にわたってお伝えしてきた、ちょっとした意識や小さな工夫が、日々の生活の中で「書くこと」との良い距離感を作ってくれるのではないでしょうか。
何かを記録したい気持ちがふと湧いてきた方へ。一つでもヒントが見つかればうれしいです。